ほっこり
70歳代だったでしょうか…
私の勤めるパン屋へ、お爺様が1人でいらっしゃいました。
トレーとトングを手に、何か迷っている様子です。
ちょっと気になったので、品だしがてら近くを通ってみました。
不安そうにしている、そのお客様が、「あの…、ベーグルって…」とお声がけ下さりました。
ご案内すると、まだ何か不安そうだったので、ポップ名と値段を読み上げ、試食をおすすめしてみました。
すると、「ベーグルっていうパンを買って来る様に頼まれたんだけど…、これで良いのか…種類がわからなくて…」と仰られました。
少し照れくさそうにポロポロお話して下さる、そのお姿に、きっと、慣れないお買い物なのに、どなたかの為に来られたのだなぁと思うと、こちらまでホッコリと暖かい気持ちになりました
この夏以降は、ベーグルだとこの1種類のみということ、それから、中身の具材をご説明しました。
そして、「うん、じゃあこれだ…」と、2つトレーに取って下さりました。もし、何かありましたら、お声がけ頂ける様にお伝えし、私は、その場を去りました。
お店にいると、こんなホッコリを感じられることが、よくあります
他にも…
ご夫婦で杖をつき、寄り添いながらお買い物されるご夫婦。
はたまた…
常連様で、いつも無愛想な感じで、カツサンドを購入されるお客様が、「いつもありがとうございます!」で、えっ!?と戸惑いながらも、「どうも」と言いながら、フフッと口元が緩む瞬間にはヨシっ!と、なぜか勝った気分に…勝ち負けではなかろうに。
夏休みなどは…
お爺様とお孫さんらしきカップルが、よくご来店されます。
爺「どれ食べたい?」
孫「アンパンマン…、あと赤いやつ…」
この会話の流れで、なぜか、目の前にあるあんパンを(お子様用の)籠に自力で入れようとする小さなお嬢様。
爺に、あんパンのことでは軽く突っ込まれながらも、目はもう別のパンに釘付け
あんパンは、絶妙なタイミングで隣を通過する店員に、そっと返されるのでした…
お爺様は、きっと終始目が離せず大変でしょう…でも、目尻は下がりっぱなしでした。
こんなこともありました…
小さな女の子が、お店の真ん中で突然、「どうしよう~っ!!美味しそうなパンがいっぱいで、困っちゃうわ~」と叫び…
周りのお客様も驚いてバッと振り返るも、なんだっ!?この可愛らしさは…と、感激されていたことでしょう。
正直、クレームもあるし、接客中では困る場面もあります。
でも、この様に、素敵な出会いを数えていける様に、日々精進です。